科学と人間生活 地学・地球分野 合格のレシピ

身近な自然景観と自然災害

地球には、絶景と呼ばれるような美しい景観が数多くある。それらは、地球内部のエネルギーによる地球活動と太陽からのエネルギーによる気象現象によりつくられる。一方、これらのエネルギーは私たちの社会に災害をもたらすこともある。

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地球の活動がもたらす景観

地球表面は十数枚の固い岩石の板「プレート」で覆われていて、さまざまな方向に動いている。このプレート運動によって、地球の姿は日々変わり続けており、巨大な山脈や峡谷など、地表には、起伏に富んだ様々な地形や景観がもたらされる。

また、海底においては、プレートが沈み込むところに「海溝」、プレートがつくられるところには「海嶺(かいれい)」ができる。

※プレートの厚さは約100km。プレートの下には少し軟らかい部分があって、地球内部からの熱によって対流するように動いている。この対流の上を滑るようにして、プレートが動いている。

地球の活動がもたらす災害

日本付近のプレートのようす

日本付近のプレートのようす

地表を覆うプレートは一枚一枚が別々の方向に動いている。そのため、プレートの境界周辺では、プレートどうしが離れたり、ぶっかったり、すれちがったりして、さまざまな力がはたらく。このため、大きな地震が生じたり火山が噴火したりする。

日本列島周辺には4枚のプレートがある。プレートがひしめきあう日本は、様々な力が働き、世界的に見ても地震や火山が非常に多い国である。

地震とその災害

日本付近は、太平洋側からのプレートが陸側のプレートの下に沈みこむ際、陸側のプレートが変形し、ひずみが限界を超えると岩盤がはね上がるように動くため、大規模な地震が周期的に発生する。海底で大規模な地震が発生すると、広範囲に海面が持ち上げられ、津波が発生する。

また、日本に数多く存在する活断層は、今後も地震を起こす可能性が高い。

地震のゆれの大きさを表す震度階級は、「0から7の10階級」に区分され、地震の規模あるいはエネルギーを表すマグニチュードは、「1大きくなるとエネルギーは約32倍」となる。

火山噴火とその災害

海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいる場所では、岩石が融けて、マグマが生まれる。マグマは地表に向かって上昇し、地表近くでマグマだまりをつくる。マグマだまりの中に泡が多量に発生して体積が増えると、その圧力で上の岩盤を突き破って火山が噴火する。

火山が噴火すると、火口から噴出する「火山砕せつ物(火山灰や軽石)」が高温の「火山ガス」と混ざって高速で斜面を流れ下る「火砕流」が発生することがある。また、付近に堆積した火山砕せつ物や山体崩壊した土砂が河川をせき止めることで、「泥流」や「土石流」が発生し、二次的な被害をもたらすことがある。

※日本での火山の分布は、プレートの境界からやや離れた場所で、プレートの境界とほぼ平行に分布している。

マグマの粘性と火山の噴火

火山の形

火山の形

火山噴火の様式は、マグマの粘性(粘り気)と密接な関係がある。粘性が低いマグマは、流れやすく、比較的穏やかな噴火になることが多い。粘性の高いマグマは、固まりやすく、噴火が始まると爆発的な噴火になることがある。

また、粘性の低いマグマは流れやすいため、流れ出すと傾斜がゆるく裾野の広い「楯状火山」となる。一方、粘性の高いマグマは、溶岩を盛り上げたような形の「溶岩ドーム」をつくる。粘性が中程度のマグマは富士山のような「成層火山」をつくる。大量のマグマが噴出すると、地面の陥没により「カルデラ」がつくられる。

火山の恵み

火山列島とも呼ばれる日本には、全国に110(2016年1月現在)の活火山がある。日本では、温泉や地熱発電など、火山の恵みを上手に活かして暮らしている。

太陽エネルギーがもたらす景観(水)

地球上の水は太陽の熱で循環し、その流れが地表に多様な地形をもたらす。太陽のエネルギーが海の水を蒸発させ、雲をつくる。雲は雨を降らせ、川をつくる。そして、川の水は海に戻る。

この水の循環により様々な景観や地形がつくりだされる。山岳地域の流れの速い川が侵食によりつくりだす「V字谷」。川が山から平地に入ると、川の流れが急に遅くなり、土砂が扇状に堆積してできる「扇状地」。川が海に注ぎ込む河口に川の流れが、とてもゆるやかになり土砂を運搬する力が弱まることで、土砂が堆積してできる平野「三角州」などがある。

このように、川は侵食・運搬・堆積などの作用によって、さまざまな景観や地形をつくり出している。

太陽エネルギーがもたらす景観(風)

太陽は風をつくり、波を起こす。風は波を起こし、風が起こした波は砂を運んで砂浜をつくったり、海岸に打ち付けて崖をつくったりする。

太陽エネルギーがもたらす災害

一方、太陽のエネルギーによって起こる雨や風などの気象現象は、自然災害ももたらし、私たちの生活に災害をもたらすこともある。雨が沢山降り過ぎれば、大雨、洪水、土砂崩れなどの被害。風が強く吹き過ぎれば突風、竜巻などの被害が発生する。特に日本は年間降水量が世界平均の2倍以上で、しかも山から海岸までの距離が短いため、大雨や洪水の被害が多い。

台風とその災害

日本付近は、台風の通り道となるため、台風による気象災害が起こりやすい。台風は太陽エネルギーにより、熱帯付近の暖かい海で発生する。日本に近づいた台風は、偏西風の影響を受け、西から東に進むことが多い。

台風は、暴風や豪雨、高潮によって大きな被害をもたらすことがある。また、台風は秋雨前線に影響を与え、大雨をもたらすことがある。なお、台風の最大風速は17.2m/s以上であり、前線を持たない。

私たちの社会を守る科学技術

災害を軽減するための科学技術も進歩している。地震の発生直後に地震計でとらえた観測データの解析から、各地での主要な振動の到達時刻や震度をいち早く伝える「緊急地震速報」。洪水を防ぐ巨大な地下施設。気象衛星による空からの気象観測、気象レーダによる地上からの気象観測。過去の災害や最新の研究成果をもとに,災害を予測した地図「ハザードマップ」。これらは災害から私たちの生活を守る科学の力である。そんな科学の力と災害時の私たちの行動が災害から身を守る。


〔参考文献等〕
第一学習社「高等学校 科学と人間生活」/東京書籍「科学と人間生活」/NHK「高校講座 科学と人間生活」/高等学校卒業程度認定試験