HR図の攻略 (地学対策)高卒認定(高認)

HR図(高認地学)→旧課程地学では、出題率No1の分野でした。ポイントを押さえれば簡単!

HR図(ヘルツシュプルング・ラッセル図)は恒星(=こうせい:太陽のように燃えている星)の色や温度、大きさにより、恒星をいくつかの型(タイプ)に分類してまとめたものです。

HR図(ヘルツシュプルング・ラッセル図)

HR図は、平成24年度から実施されている新学習指導要領の「地学基礎」では発展的な内容として扱われるようになりました。そのため、平成26年から実施される高卒認定試験の「地学基礎」では、出題される可能性が低くなります(ただし、問題文にHR図の説明がなされた上で、考察問題として出題される可能性はあります)。なお、恒星の進化(主系列星→赤色巨星→白色矮星)については、試験範囲ですので覚えておきましょう。


HR図は頻出

HR図は恒星の進化の問題とともに、高認(高卒認定試験)の地学では、非常によく出題されます。次のHR図(グラフ)を基本として、ここで説明することを覚えれば、HR図に関するほとんどの問題は正解できるはずです。

まずは、次の図(=HR図)の空欄が埋められるようにしましょう。

下のような図を紙に書いてください。空欄は図の下から始まる説明を読みながら埋めてみてください。

HR図の基本を覚えよう

星の世界は人間の色彩イメージと逆

HR図(=上の図)は恒星(=こうせい:太陽のように燃えている星)の色や温度、大きさにより、恒星をいくつかの型(タイプ)に分類してまとめたものです。

人間の血液型と同じように恒星にも型があり、O型、B型、A型、F型、G型、K型、M型の7つのタイプに分かれます。この順番通りに覚えてください。この恒星のタイプをスペクトル型といいます。

よく人間の血液型は性格を表していると言われますが、スペクトル型は恒星の特徴(色や温度)を表しています。HR図では横軸にスペクトル型を設定します。上のHR図の横軸の□の中には、左からO→B→A→F→G→K→Mの順にアルファベットが入ります。

左側ほど(O型に近いほど)青白っぽい色の恒星で高温です。右側ほど(M型に近いほど)赤色っぽい色の恒星で低温です。人間の世界では赤色は暖色(=温かいイメージの色)で、青白は寒色(=冷たいイメージの色)になりますが、星の世界ではそのイメージが逆になりますので間違えないようにしてください。


縦軸は恒星そのものの大きさを表す「絶対等級」

HR図の縦軸は絶対等級です。絶対等級は恒星そのものの大きさ(明るさ)を表しています。そして注意しなくてはいけないことは、絶対等級はその値が小さいほど大きな恒星(明るい星)になります。しかもマイナスもあり、マイナスが大きいほど大きな恒星(明るい星)となります。

例えば、絶対等級が5等より3等の方が大きな恒星(=明るい星)で、3等星よりも-2等星の方が大きな恒星(=明るい星)ということになります。

また、基本的に明るい星ほど大きいので、主系列星の中で比較すると「明るい星(=等級が小さい星)ほど重い」ということになります。

つまり、HR図の主系列星の中で比較した場合、左上ほど重い星ということになります。

まとめると、

絶対等級が小さい=明るい星

絶対等級が小さい=重い星

これらも人間の世界のイメージとは、逆ですね。 間違えないようにしてください。

ここまでを理解した上で、とりあえず、上のHR図の空欄をわかる範囲でうめてみてください。見るだけでなく、面倒がらずに、必ず手で書いて練習しましょう。こちらをクリックすると正解が表示されます。


恒星は、年齢によりグループ化されます

さらにこのHR図の枠の中の空欄(吹き出し)について説明します。まずHR図の特徴として左上から右下にかけて斜めに星が集中する場合がよくあります。この左上から右下にかけての星のグループを「主系列星」といいます。主系列星は若い星で、人間の世界では社会人のように活躍している年代のイメージです。図の中の①や③、太陽はこの若いグループです。上の図で太陽はスペクトル型がG型で絶対等級が+5等の主系列星であることを確認してください。

それでは、②のように右上にある星はどんな星でしょうか?

スペクトル型がM型に近いので赤色っぽい星です。そして絶対等級が小さいので大きな星です。つまり、赤色っぽくて大きな星なので「赤色巨星」といいます。赤色巨星は主系列星が老いて膨張した姿です。また、膨張しているので、大きい割には軽い(=密度が小さい)星です。

同じように考えると④のように左下に位置する星は青色っぽく、高温で小さな星になります。このあたりに位置する星のグループを「白色矮星(はくしょくわいせい)」といいます。かなり年老いた星で寿命が近いか、死んでしまった星です。

白色矮星は、星の中心核だけが残っており、赤色巨星とは、逆に収縮したイメージになります。そのため、小さい割には重い(=密度が大きい)星です。

人間の世界では長く生きることを「老いる」と言いますが、星の世界では「進化する」という表現をします。これも人間の世界とはイメージが違います。

以上を理解した上で、残った空欄を埋めてみてください。正解はこちら!

埋まったら、次の文章の穴埋めもしてみてください。こちらをクリックすると正解が出ます。

いかがでしたか?(4)の寿命については説明していませんが、明るい星ほどその分エネルギーの消費が激しいため、早く使い果たしてしまう、つまり寿命が短いというようなイメージで考えるとよいでしょう。


過去問にチャレンジ!

縦軸に恒星の絶対等級を、横軸にそのスペクトル型をとったものを、HR図という。図1は太陽からの距離が比較的近い恒星を観測してHR図に記入したものである。図中の恒星は3つのグループに分けられ、どのグループに属するかで恒星の特徴 や進化の段階を知ることができる。図中のX、Y、Zの各点はそれぞれのグループに含まれる恒星をあらわしている。

問1 図中の恒星X、Y、Zは、それぞれ何と呼ばれるグループに含まれるか。
① X:超新星  Y:主系列星  Z:巨星
② X:主系列星 Y:白色矮星 Z:巨星超新星
③ X:巨星 Y:主系列星 Z:白色矮星
④ X:白色矮星 Y:巨星 Z:主系列星

問2 図中の恒星X、Y、Zの表面温度と恒星の色の関係について述べた文として、最も適当なものを選べ。
① 恒星Xは最も温度が高く、赤い。
② 恒星Yは恒星Xよりも高温で、黄色い。
③ 恒星Zは最も温度が低く、白い。
④ 恒星Zは最も温度が高く、赤い。

問3 図中の恒星X、Y、Zの半径と平均密度の関係について述べた文として、最も適当なものを選べ。
① 恒星Xは半径が最も大きく、平均密度も最も大きい.
② 恒星Yは恒星Zよりも半径は大きく、平均密度も大きい。
③ 恒星Yは恒星Xよりも半径は大きいが、平均密度は小さい。
④ 恒星Zは半径が最も小さく、平均密度は最も大きい。

問4 恒星の進化について述べた文として最も適当なものを選べ
① 恒星Zは生まれたばかりの恒星である。
② 質量が太陽程度の恒星は、一生の大部分を恒星Xが含まれるグループですごす。
③ 質量が太陽程度の恒星は、一生の大部分を恒星Yが含まれるグループですごす。
④ 現在の太陽は恒星Zの位置にある。


正解
問1=③ 問2=② 問3=④ 問4=

HR図や恒星の進化の問題はよく出題されていますが、ここで説明した内容でほとんど解けるはずです、ぜひ過去問で練習してみてください。


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