高卒認定合格者が共通テストを受験するメリット
大学入学共通テストとは
大学入学共通テスト(正式名称:大学入学共通テスト)は、もともと国公立大学の一次試験にあたるもので、以前(令和2年度以前)は「大学入試センター試験」と呼ばれていました。現在でも、国公立大学の一次試験としての位置づけは変わりませんが、国公立大だけでなく、多くの私立大学の入学試験でも利用されていることから、「日本の大学の共通入学試験」として広く定着しています。
共通テストは、令和3年度(2021年)から導入され、毎年1月中旬の土日に実施されます。受験者数は毎年50万人前後。7教科21科目の中から、志望大学が指定する科目を選んで受験します。
受験案内は9月下旬から10月上旬にかけて大学入試センターから発行され、出願が始まります。
※主な教科:国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、情報の7教科21科目の中から、志望大学が指定する科目を選択して受験します。
※大学入学共通テストの「受験案内」は、参加大学などで配布されるほか、大学入試センターのウェブサイトでも公開されます。
試験の翌日には、大手予備校や新聞社などが解答速報(正解・配点予想)を発表します。受験生は自己採点を行い、その結果をもとに志望大学へ出願します。
なお、共通テストの結果だけでは国公立大学に入学することはできません。別途、各大学が実施する「個別学力検査(二次試験)」を受験して、合格する必要があります。
高認合格後に大学受験を目指すなら共通テストがおすすめ
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に合格した方が大学進学を目指す場合、大学入学共通テストの利用がおすすめです。共通テストを利用すれば、複数の大学を効率よく受験することができ、さまざまなメリットがあります。
共通テスト受験のメリット
多くの大学で活用されている
国公立大学はもちろんのこと、私立大学でも共通テストを利用する入試方式(共通テスト利用入試)を導入している大学が非常に多く、全体の9割近くにのぼります。
高卒認定試験と出題範囲・形式が類似
共通テストは、学習指導要領に準拠したマークシート方式の試験であり、高卒認定試験と出題範囲・形式が共通しています。つまり、高卒認定試験の延長線上にある試験であり、難易度はやや高くなりますが、対策はしやすい構成です。
そのため、高卒認定試験合格者が大学受験を目指す際に、4月以降から受験勉強を始めた一般受験生に追いつくことも、十分可能です。

ひとつの試験で複数の大学を受験可能
一般入試では大学ごとに異なる出題傾向に対応する必要がありますが、共通テストを利用すれば、一つの試験対策だけで幅広い大学を受験できます。効率よく勉強できるのが大きなメリットです。
受験対策が効率的
一般入試で受験する場合は、受験する大学ごとの対策が必要です。しかし、上記のとおり、センター試験を利用すれば、対策がひとつ(センター試験対策のみ)で、さまざまな大学が受験できます。そのため、効率的な受験勉強が可能です。
成績を翌年も活用できる大学もある
例一部の大学では、前年の共通テストの成績を翌年の入試でも提出でき、科目ごとに高得点の方を採用してくれる制度もあります。
地方受験が可能で、移動費も軽減
共通テストは全国の都道府県に複数の試験会場が設けられているため、遠方の大学を受験する際にも、近隣の会場で共通テストを受けられ、移動・宿泊費を抑えることができます。
共通テストの出題傾向と対策
英語(リーディング・リスニング)
傾向
- 全体が英語のみで構成され、実用的な文書(案内・メール・広告等)が多く出題される
- 長文中心で複数資料や図表を読み取る問題が頻出
- リスニングは実生活を題材にした会話やアナウンスが中心で、一部1回読みの設問もある
対策
- 速読力と情報処理力を鍛えるため、日常英語素材で練習する
- 過去問・模試で出題パターンに慣れる
- シャドーイングやディクテーションなどでリスニングの実力を高める
数学(数学I・A/II・B/C)
傾向
- 基本計算よりも思考力・読解力を重視
- 設定を読み解き、数式に置き換える「モデリング力」が必要
- 誘導付きの大問形式で、部分点を積み重ねるスタイル
対策
- 公式や定理を単に覚えるだけでなく、理由や導出も理解する
- 応用問題で読解・論理の力を鍛える
- 60分で全問解き切る練習を繰り返す
国語(現代文・古文・漢文)
傾向
- 評論文・実用文・文学などの読解が中心
- 複数の文章や資料を比較する問題も出題される
- 古文・漢文は文法知識と読解の両方が求められる
対策
- 接続語・指示語・要約などの基本読解力を強化する
- 古文単語・助動詞・敬語の反復学習
- 本文を現代語に訳す練習で内容把握力を高める
地理歴史(世界史B・日本史B・地理B)
傾向
- 資料・図・統計データの読解問題が多い
- 単純な暗記ではなく、時系列・因果関係を問う出題が中心
- 地理ではグラフや地図からの判断が多く問われる
対策
- 教科書ベースの知識を基に、資料問題に多く取り組む
- 流れや構造を図解して整理する学習を心がける
- 地理は統計問題を繰り返し解き、読解と判断力を養う
理科(物理・化学・生物・地学)
傾向
- 実験や観察データをもとに推論させる問題が多い
- 単純暗記よりも、理解と応用を問う傾向が強い
- グラフや表、数式を使った考察問題が中心
対策
- 基礎用語・法則・計算をしっかり押さえる
- 実験の目的・手順・考察を整理しながら学習する
- 実戦形式の演習で数値処理や分析力を高める
情報Ⅰ
傾向
- プログラミング、ネットワーク、表計算、情報モラルなど幅広い
- 論理的思考や手順の理解を問う問題が中心
- すべて選択式で、情報処理能力が求められる
対策
- 教科書レベルの基本用語・概念を整理して理解する
- アルゴリズムやフローチャートの演習問題に慣れる
- 模試や予想問題で出題形式に慣れる
公民(現代社会・倫理・政治・経済)
傾向
- 政治制度、経済原理、時事的課題などが多く出題される
- グラフ・統計・資料の読み取りが中心
- 単なる暗記よりも理解と応用が重視される
対策
- 制度や思想を図で整理しながら理解を深める
- 時事的なトピックや社会問題に日頃から関心を持つ
- 問題演習と解説の反復で知識の使い方を身につける
共通テスト対策の参考書・問題集
共通テストは、かつてのセンター試験に比べて、思考力や表現力を重視した出題が増えていますが、基礎的な内容を丁寧に学び、過去問や模擬試験で実践力をつければ十分に対応可能です。 教科書・参考書を活用して基本を固め、問題集で演習し、最後は過去問題集で総仕上げを行う学習スタイルがおすすめです。